橋田壽賀子氏の最新インタビュー(週刊文春)

橋田先生(93)のインタビュー記事を発見。内容を要約すればこうだ。

2月上旬、大型客船での海外クルーズ中に突然の血便。痛みなどの自覚症状は全くなかったが、寄港先のベトナムの病院に緊急入院。現地の病院では原因はわからず、東京から医者がプライベートジェットに乗ってやってくる。(この費用1000万以上?はなんと生命保険の保障範囲だそうだ)

日本人医師の登場によって、下血の理由が明らかになる。食道と胃の境目の粘膜に傷がつき、そこから出血したのだ。

橋田先生は逆流性食道炎で、食べ過ぎて気持ち悪くなると、指をのどに突っ込んで食べたものを吐く習慣があったのだ。普通は吐血するが、まれに下血する人がいるそうだ。

ベトナムの病院を3日で退院し、その後帰国し、都内の病院で10日間入院。橋田先生は今回の”危機”をこう振り返る。

「船を降ろされたとき、私の身を案じて下さったのに、「船の中で死なれたら困るから降ろすんでしょう」なんて邪推してしまって…(中略)

日本から来た先生が「生きて帰れて、よかったですね」って。なのに私は外国で死んだら誰も来ないだろうから、迷惑をかけずにすむなんて考えていたのです」

「安楽死で死なせてください」を読んで。

きのう、最近の本は大げさなタイトルが多いと書いた。この「安楽死で死なせてください」は違う。著者の橋田壽賀子氏(93歳)の切実な願いそのもの。これ以上はまるタイトルはない。

「私なんか、夫にはとうに先立たれ、子どもはいません。親戚づきあいもしてきませんでした。会いたい友達や思いを残す相手もいないし、生きていてほしいと望んでくれる人もいません。天涯孤独の身ですから「もういいや」と思っています。あとはもう、他人に面倒をかけたくないだけ。身の回りのことが自分でできなくなって、下の世話から何からしてもらって迷惑をかけるくらいなら、そうなる前に死なせてもらいたい。死に方とその時期の選択くらい、自分でできないかなと思うのです」(はじめにより)

この本は2年前に発売されたとき、かなり話題になった。実は私も発売直後に読んだのだが、先日図書館で偶然目にして読み直した。改めて良著だと思う。

まずは90歳を超える橋田壽賀子氏の文才。これほどの文章が書けるならば、認知症を恐れる必要はないのではないか、とさえ思う。以下は本筋ではないが、橋田氏の食生活が見逃せない。

「食事は毎日、お肉を200グラム。医者から言われたんです。年を取ると筋肉が衰えるから、できるだけ肉を食べて筋肉を作らなきゃいけない。(中略)とは言われても、毎日200グラム食べるの大変ですよ。だから、できるだけ薄切りにしてもらって、朝食に120グラム。昼か夜にあと80グラム足した食事を作ってもらっています」

肉を食べる高齢者は元気とよく言うが、それを体現している点が興味深い。本書によれば、橋田氏は熱海の自宅に一人暮らしだが自炊はしていない。4,5人のお手伝いさんを雇って、食事の世話や病院やトレーニングへの送迎をしてもらっている。

「お手伝いさんの人数が多いので人件費はけっこうかかりますけど、苦にはなりません。息子のお嫁さんや娘と一緒に暮らして気兼ねをするくらいなら、お金を雇った他人に来てもらって、『あそこが汚い』と文句を言っているほうが気が楽です」

民間のお手伝いさんを数人も雇うのは、大金持ちの橋田氏だからできることで、普通の高齢者には真似できない。だが、橋田氏の考えは意外なところにある。

「介護職員の人手不足も深刻だと言われています。老人ホームの入居待ちをしている人がとても多いのに、ベッドが空いていても人手が足りないために入居を断る施設がたくさんあるといいます。そんな貴重なお金や人手を自分のために使っていただくのは申し訳ない、というのが私の気持ちです」

これが本音かどうかはわからない。有名人だから、普通の人と同じ老人ホームに入るのが耐えられないだけかもしれない。だが、詭弁ではない気がする・・。稀代の脚本家だけにそのへんが読めない。ぜひ続編を書いてほしい。「渡る世間」のように。